2020-01-01から1年間の記事一覧

バチェロレッテ・ジャパンにおける結末の考察――萌子さんの不可能な誠実さ

※この記事にはバチェロレッテ・ジャパンのネタバレが含まれますので注意してください。 10月31日(土)に『バチェロレッテ・ジャパン (The Bachelorette Japan)』のエピソード8(9話)とアフターローズ(10話)を視聴しました。結末の衝撃に魂がゆさぶられて…

大宮夜景

カウンターの若い女性スタッフからカードキーを受け取ると、汚れた衣服とスナック菓子でファスナーが閉まらなくなった黒いユニクロのトートバッグを肩にかけ直した。荷物の重みでバッグの持ち手が肩に食い込むのを感じる。どうやら今日までの勤務のために、…

『美と実在』を読む。美による異化作用について

今度、中学生と佐藤透『美と実在――日本的美意識の解明に向けて――』という文章を読むのだが、論じられているテーマがあまりに難しく、はっきり言って文章の構成もうまくないので、全面的に書き直して論理をはっきりさせ、これをもって図式化して解説すること…

『千と千尋の神隠し』と「ほんとうの幸」

1.はじめに 本稿は、スタジオジブリ・宮崎駿監督による長編アニメーション映画作品『千と千尋の神隠し』を扱う評論である。2012年の秋に、早稲田大学のサークルである国語国文学会・児童文学研究部会で行ったゼミ発表の続編にあたる。当時、拙い発表を辛抱…

『父と暮せば…』論――死者との対話による内在的救済

あらすじ:昭和23年の広島。美津江は友達をみんな原爆で亡くしてしまった。美津江はひとり生き残った負い目からひとめぼれした恋を封じ込めようとする。父・竹造は彼女を励ますが、実は竹造もまたすでに死者なのだ…。 メディアミックス華やかなりし今日、あ…

『王様ランキング』論――「影との対話」で進む人情噺

あらすじ:ある王国にボッジという王子がいた。巨人の両親のもとに生まれたが身体が小さく非力で、耳が聞こえず言葉も話せないのでみんなからバカにされている。いつもどこかに出かけてはパンツ一丁で城に戻るので、大方追いはぎにでも会っているのだろうと…

「情況内現実」について

以下、中央大学の過去問で、安富歩・本條晴一郎著『ハラスメントは連鎖する――「しつけ」「教育」という呪縛』部分を生徒と共に読み、議論した結果僕が考えたことです。 「誤解」と「嘘」は異なる。誤解とはつねに、意識されることなく思わず知らずに間違った…